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2022「愛知県民のつどい」のレポート

【リポート】

11月3日に開催された「憲法九条をまもろう 2022 愛知県民のつどい」について、あいち九条の会代表世話人の見崎徳弘さんからレポートが届きました。「安保関連法廃止、戦争させない瑞穂区の会」の11月通信に掲載されたものですが、会の了解を得て転載させて頂きます。

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 11月3日の「県民のつどい」には800人が参加。<第1部>で「死んだ男の残したものは」など鳴海卓のバリトン独唱と日本のうたごえ全国合同合唱団有志の合唱を聞いた後、<第2部>で中野晃一・上智大教授の講演を聞いた。冒頭、氏は岸田政権がJアラートで危機をあおり、「受け身だけじゃダメ」として巡航ミサイル・トマホークの購入を検討している点に触れ、「トマホークとは先住民が戦うために使う斧。守るための武器ではない、戦後の平和主義が危ない」と前置き。「9条では日本は守れない?」の演題で「9条を活かしてこそ!」と結ぶ講演を80分、縦横に語った。以下、紹介する。

◆参院選後の政治状況は・・・          

 先の参院選は改憲勢力が2/3を超えたが、自民や維新などによる「野党共闘つぶし」=分断政策のせい。一方、「大勝」した岸田政権は、安倍氏殺害・統一協会問題の急浮上・「国葬」強行で支持率急落、明文改憲は失速気味だ。だが岸田はダメ。安倍氏不在の中、勝負に出るなら統一協会もつぶすべきなのに、安倍派や日本会議の支えがほしくて萩生田を重用、安倍と同姿勢で政局に臨み、長男を取り立てるなど・・世論も風も読めない。

 この中で「潮目が変わった」が、議院内閣制なので与党から「岸田おろし」が出ぬ限り続投だろう。決定的に重要なのが来春の統一地方選。統一協会と自民党の関係の追及、安倍路線の継続を許さぬ世論形成など「与党が負ける」状況をつくる必要がある(野党がきちんと準備しないと、岸田が倒れても河野太郎など「改革保守」を掲げる別バージョンの保守政権が続く)。維新と立憲の接近は心配だが、年明け以降はブレーキがかかる。切実な要求を軸に市民と野党の共闘を再構築し、政治を変える流れを作らねばならない。

◆自民党の9条改憲案の危険性。         

 防衛省のHP「憲法と自衛権」の項を見ると、9条は武力の行使を一切禁じているかに見えるが、憲法前文にある「国民の平和的生存権」や13条「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」が外国の武力攻撃で根底から覆される時は、国民を守るためにやむを得ぬ自衛措置「必要最小限の武力行使」が許容され、自衛隊の存立が許されるとある。「専守防衛の自衛隊は合憲」とする従来の憲法解釈と変わらない。

 ところが自民党の改憲案は現行9条を変えぬまま、第9条の2として「前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として・・・内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する」を加える。この加憲で自衛隊が守る対象は「国民(の権利)」から「国(=国体)」に変わり現行の9条は無効化される。危険な改定だ。

◆9条と安全保障――改憲は戦争への道。     

 近年「抑止」という言葉がよく使われるが、抑止とは本来「未然に防ぐこと」を言う。相手に警戒心を抱かせない「安心供与」が伴わないと「武力による脅し」になり軍拡競争に陥ってかえって危ない。同盟も「巻き込まれ」の危険を伴う。9条がうたう「戦争と軍隊の放棄」は、かつて日本が侵略したアジア近隣諸国に対する最大の「安心供与」として機能し、ベトナム戦争などアメリカの戦争に「巻き込まれる」のも防いできた。9条改悪はそれを捨てる、危ない。

 それに9条改悪で「国民を守る平和国家」から「国を守る国防国家」への変貌が完成すると、防衛費倍増・日銀の国債引受けや予備費膨張など「戦時財政」に向かい、国民の暮らしや福祉・教育が切り捨てられていく。つまり憲法25条も26条も危うくなり、国民の幸福追求権をうたう13条も骨抜きになる。

◆改憲/壊憲の危機を乗り越えるために。     

 台湾を焦点に激しさを増す米中対立と日本の対米追随路線の危険をしっかりつかみ、9条改憲がいかに危険な道かをひろげると同時に、憲法を活かしてこのように社会を変えようという「希望」を語ることが大切。暮らし・いのち・民主主義を守る市民運動の再構築を目指し、誰もが参加でき、生き生きとのびやかに運動する姿を見せよう。シールズやママの会の登場もそうだったが、それを見た人たちがあんなふうに生きていきたいと思い、自分たちの関心をもとに時代にあった運動を自らつくっていくのを後押ししよう。