憲法9条って
なに?

皆さんも社会科の授業などで学んできた通り、憲法9条の内容は、戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認から大きく構成されています。要するに、日本という国家が、徹底的な非武装に立って諸外国との関係を築いていくことをはっきりと誓約したわけです。
この歴史的背景には、とりわけ「自衛」を口実として1931年に開始された「満洲事変」を皮切りに、日本がアジア近隣諸国を始めとする諸外国に対して侵略戦争を繰り返してきたことへの痛切な反省がありました。

もっとも一方で、憲法9条は制定以降、改憲を指向する政府与党などの攻防の中で絶えず改悪の危機にさらされ続けてきました。しかしながら、海外における自衛隊活動を拡大化する法律が次々と成立したにもかかわらず自衛隊が他国並みの軍事行動をとることができないのは、依然としてこの憲法9条の縛りが生きているからこそなのです。今、ウクライナ情勢を奇貨として市民の不安感に乗じる形で日本でも軍拡の動きがますます進み、憲法9条への風当たりが一見強まっています。けれども、私たちはそうした今だからこそ一旦立ち止まり、軍事力によって平和を追求することが、本当に私たちにとって賢明で合理的で有益なアプローチになるのかを冷静に見極めなければなりません。むしろ今だからこそ、憲法9条を基軸とした外交努力を中心とする軍事力によらない平和の取り組みがますます求められているのではないでしょうか。

憲法9条を中心とする「日本国憲法の平和主義は、・・・平和構想を提示したり、国際的な紛争・対立の緩和に向けて提言を行ったりして、平和を実現するために積極的行動をとるべきことを要請している」(芦部信喜『憲法(第7版)』(岩波書店、2019年)56頁)のです。