若い世代からメッセージ

Vol.1:愛知県立高校教員(30代、Kさん)

8月に広島に行って来ました。5年に一度行われる核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議が行われている時期でした。
世界の技術がどんどん発達し、人々の生活は豊かになりました、同時に軍事力も強大なものになりました。現在は地球をすべて破壊しても核兵器が余るほどです。

相互確証破壊に基づいて核の保有をしていますが、低出力の核兵器も生産され、その理論が破綻しつつあります。つまり指導者にとって「使いやすい」核兵器が存在してしまっています。奪い合うのではなく分かち合う社会を作るために、教員として何ができるだろうかを考えさせられる旅でした。

世界情勢が不安定な中で憲法第9条を維持するためには、平和活動を日本に、世界に広げていくしかないと思います。1人でも多くの方が、戦争のもたらす悲惨な結果について知り、平和について考えられるためにも、あいち九条の会の活動に期待したいと思います。


Vol.2:越元宰輔(南山高校)

愛知県高校生フェスティバルで戦争や平和について、「戦争は人を人でなくしてしまう」ことを学びました。戦争は人を殺すのを正当化し、兵士だけでなく、たくさんの市民が犠牲になり、多くの若者が武器をつくり、その銃弾が人を殺し、加害者になるのです。

戦争は人を人でなくしてしまう-私たちには語り継ぐ責任が

元日本軍兵士の近藤一さんから日本兵の加害をナマでリアルに学びました。ふつう人は人を殺すことは簡単にはできません。軍隊という装置の中で敵を殺せるように訓練され、「人を殺す」抵抗感をなくし、レイプや拷問などもしてしまう。
イラクで人道支援活動をする高遠菜穂子さんは、「人間の中には良心と残虐性の2つがある」と言っています。いま戦争で人を殺さない環境で過ごしているから、残虐性のトリガーを引かなかったが、戦争のなかでは自分も残虐行為を働くかもしれないのです。
そして戦争は「人を殺したこと」「生き残ったこと」でも人を苦しめるのです。「思い出したくない」と苦しむ兵士に終戦後も「戦争」は終わらないのです。兵士も戦争の被害者なのです。
戦勝国も敗戦国もなく、参戦したすべての国、人が、加害者にも被害者にもなるのです。
でも、戦争をすると言った人は戦場にいない。戦争は一度始まると簡単に終われない。
戦争体験者は「戦争は二度と起こしてはいけない」と口をそろえて言います。私たちは戦争を体験していないからこそ、戦争を二度と起こしてはいけないと思います。

戦争を起こさないために何ができるのか

戦後77年がたち戦争や戦場の体験者が少なくなり、戦争の悲惨さは教科書や資料では伝えきれません。「豊橋空襲を語り継ぐ会」会長は、「戦争の責任はみなさんにはありません。しかし、戦争の過去を学ぶ責任はあります。みなさんはアンカーではありません。未来に伝えていってほしい」と語ってくれました。私たちが戦争体験者からもらった平和のバトンを、私たちが語り継がねばならないと思います。
「人の命が大切、戦争はよくない」と皆同じ思いなのに戦争は起こされ、悲惨なことが繰り返されています。止めることはできたのではないでしょうか?だから戦争の悲惨を伝えるだけではなく、「平和」な社会を自分たちで創りだしていく、次の世代にどうつなげるのか、考え続けたいです。
私たちには考える力、想像力、話し合う力があります。お互いの主張を聞き、相手の立場から想像し、お互いが寄りそい、お互いの正義から新しい答えを導き出すことができます。相手へのイマジネーション、「他者への共感」を大切に、相手の立場から考えるなら、誰かが犠牲になることのない「平和」を創り出すことができるはずです。
しかし、「どれだけ平和を願っても、社会は変わらないんじゃないか?」と絶望したことがあります。ウクライナなどで戦争は起きた。どんなに声を上げても、意味ないんじゃないかと。ものすごい無力感を感じました。学ぶなかで目を背けたくなるような現実も知り、「何も知りたくない、やりたくない」と疲れ、何のためにやってるんだろうって。政治家になるしかないのかと悲しくなりました。

みんなで行動し、平和への思いをひろげよう! ぼくはあきらめない

最近気づきました。ぼくにはたくさんの仲間がいた。一緒に考え、行動する仲間がいた。
ぼくが一人で平和を願っても、その力は小さい。でも一人ひとりが願い、みんなで行動し、想いが広がれば。平和のつくり方は人それぞれ違うかもしれない。世界中のみんなが「誰かの犠牲の上に平和な社会はない!」って思えば。戦争のない、「だれか」を犠牲にしない、平和を創り出せるはずです。夢物語かも、頭お花畑って言われるかもしれない。でも諦めたら、本当に夢物語になってしまう。だから、ぼくはこれからも明るく元気に、前に進み続けます。
これからも、誰もが安心して生きていける、戦争がない、だけではない、平和な社会をつくるために。この平和な時代に、私たち若者も様々なことに関心を持ち、これまでの世代の方々がつなげてくれた平和のバトンを、次の世代へ、つなげていきたいと思っています。


Vol.3:平和委員会

「9条を大切にしよう」と思った瞬間

私は憲法9条の存在を小学生のころに初めて知り、衝撃を受けました。日本は戦争を「しない」のではなく、戦争を「できない」のだと。でも、この9条を変えようとしている人たちがいる。私は、戦争はいやだ。だから9条を大切にしようと思った瞬間でした。

平和を望む若者たち 
…アンケートを毎年実施

愛知県平和委員会青年・学生部では、毎年5月3日の憲法記念日に「若者100人憲法アンケート」という青年を対象にした憲法の意識調査を行っています。
5月3日を「憲法記念日」と答えられる青年は例年半分ほどです。
また、憲法9条1項2項それぞれについて変えるべきかを聞くと2022年の回答は下記の通りでした。
9条について「変えるべき」24(30.0%)「変えるべきではない」39(48.8%)「わからない」17(21.3%)。
9条第2項について「変えるべき」29(36.3%)「変えるべきでない」28(35.0%)「わからない」23(28.8%)。
「変えるべきでない」理由には、毎年のように「9条を変えると戦争になる」「戦争はよくない」など9条と戦争を関連付けた回答があります。青年に9条が平和憲法として認識されている事が分かります。私はこのような回答に毎年励まされています。街を歩く青年も平和を望んでいるのです。

多くの人に平和と9条について考えてほしい

いつの時代になっても戦争の犠牲になるのは市民です。だから、市民ひとりひとりが平和について、憲法9条について、もっと考えるようになってほしいです。
私が「憲法9条を変えないで」と声をあげることで、ひとりでも多くの人に憲法9条を考えるきっかけになってほしいと思っています。
(愛知県平和委員会青年・学生部 澤村)